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ロータリーポンプのメンテナンス作業

株式会社茂呂製作所

以前にも依頼をいただいたことがある、ロータリーポンプ(ケシャポンプ)のメンテナンス作業です。
ロータリーポンプは安定して液体を送ることができるのが特長です。
ただし、2軸の回転部分を有しているため、ある程度長期に使用すると、軸を支えているベアリングの磨耗や、潤滑油を密封しているオイルシールが劣化してきます。

今回のお客様は経験豊富なため、ポンプから「カラカラ」といった音が聞こえてきたことにより、べアリング寿命の前兆と判断されたそうです。

対象機器の特徴

ロータリーポンプは高価格でありますが、回転すると負圧となるため自吸作用があり、呼び水も要らず取り扱いが容易です。
そのほかにも、ポンプ容積が常に一定のため、定量性に優れており、脈動もほぼありません。

更に、低粘度液から高粘度液まで対応しているので、食品分野をはじめ多くの分野で使われています。
今回のご依頼も、食品製造会社様からのものでした。

対処法

二軸の回転軸を有しており、その軸にベアリングとオイルシールが用いられているので、分解交換します。
その際、潤滑油もあわせて交換します。

交換部品

  • ベアリング:×4
  • オイルシール:×2
  • ギヤオイル:適量

作業工程

まずは外観の点検をおこないます。
今回も大きな損傷は見受けられません。
手で軸を回してもスムーズに回転します。
分解に入るためにギヤオイルを抜きます。

反対側の軸周辺部も分解していきます。
2軸構造がはっきり分かると思います。
この軸にポンプの構成部品が付きます。
今回はポンプ部品は外された状態でお預かりしました。

軸を丁寧に抜いていきます。
無理に抜くと軸の曲がりやネジ部の損傷がありますので最も気を遣うところです。
抜く力も個体差がありますので、経験が物を言う場面です。

少し硬かったですが、上手く抜けました。

さて、抜いた2軸を確認いたします。
ギヤ部の磨耗や変形、ベアリングの磨耗状態、オイルシールの変形等を中心に見ます。

単純に部品を交換するのではなく元々の状態をしっかり把握し、部品単体での良否を判断していきます。

軸に組み付いているベアリング等の部品を専用工具ではずします。
今回はネジ式の工具でおこないました。
もっと大きな軸や嵌め合いがきつい部品は油圧プレスを用いて分解することもあります。

さて、再利用する部品をしっかりと清掃し、ベアリング・オイルシールを新品にして組立作業に入ります。
今回の組立作業の重要なポイントは2軸の相互の位置と軸の締め付け加減となります。

まずは、2軸の相互の位置ですがギヤ部分にマークが付いています。
このマークをしっかりとあわせて組み立てます。
マークがずれるとポンプ部品が回転した際にぶつかり合い破損につながりますので、必ず合わせて組み付けます。

次に、軸の締め付け加減となります。
写真に写っているのはANナットまたはベアリングナットと呼ばれる、任意の位置で固定できるナットです。
通常のナットは少し緩めに締めて、軸を回転させると緩んでしまい重大な故障を招きます。

このANナットは任意の位置でゆるみ止め機構を使えるので、少し緩い状態でも回転して使用することができます。
少し緩めの状態にする理由は、以前にも説明しました(https://kikai-syuuri.com/moro/post_4620/)が、ベアリングを適切な締め加減(プリロード)にするためです。

ネジの締めが緩い(プリロードが弱い)場合はガタが早期に発生し、ベアリング寿命を低下させます。

ネジの締めが強すぎる場合(プリロードが強すぎる)場合は摩擦抵抗が大きくなりすぎ、熱の発生と磨耗が早く進行するため、同じくベアリング寿命を低下させます。

今回も少し締めて軸を手回しし、回転抵抗を作業者が経験から判断することを何度か繰り返して、ベストの締め加減を決定しました。

最後に、モーター等はお客様が使用していたため、お客様の工場にて動作確認を実施しました。
カラカラ音もなくなり、スムーズに動作いたしました。

同様の機器をお使いの方へ

ポンプ等は必ずベアリングの磨耗があります。
そのような場合でも予備ポンプをお持ちいただくと、元のポンプを丁寧にオーバーホールすることが可能です。

特にライン停止できない設備などは、予備品の備えをしたり、異常を感じたときに速やかにオーバーホールしたりすることで、保守費用の低減に結びつきます。

茂呂製作所では、小型の特殊ポンプオーバーホールは多くの実績があります。
経験が必要な修理には自信がありますので、ぜひご相談ください。

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