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温調弁の整備

株式会社テクニカデベロップメント

今回は、温調弁の中でもボールバルブ式などではなくリンケージを使って上下動させているタイプのバルブの整備です。

施設管理のご担当者様が誤って異常な高圧をかけてしまい、グランド部から漏水が発生する状況でのご依頼となりました。

作業前所見

グランド部から若干の漏水が見られるが、昇温・昇温停止に問題は見られません。
そのため、異常高圧をかけた際にグランド部に負担がかかり、水道(みずみち)ができてしまったものと判断しました。

昇温・昇温停止能力に問題がある場合は全分解整備もおこないますが、今回はグランドパッキンのみの交換となります。

作業工程

施工前

モータとリンケージを外し、わきの配管へ捕縛。弁のみを取り外します。

弁の交換部品一式。

この弁は構造上真ん中の部品の内側と外側にOリングがあります。

新旧交換部品一式。

温調弁側も相手のフランジもFFタイプなので、今後の漏れの可能性を低くする意味合いで内パッキンを選定。
また、蒸気を通すのでより信頼性の高いボルテックスタイプのパッキンを選定しています。

内部を清掃した後、部品を組み込みます。

外面補修塗装をおこない、リンケージのストロークとテンション調整をおこない、施工完了です。

これは二方弁ですのでテンション調整は閉方向のみの調整となります。
この手のバルブは全開・全閉時のテンション調整が重要となり、これを怠ると温調状況の不良を起こします。

参考:過去事例

過去事例ですが同様の温調弁の三方弁の全分解整備も行っていますので、簡単にご紹介します。

二方弁同様に三方弁を取外します。

全分解状態です。

弁体と弁座の摺り合わせをおこないます。

取付けて、閉方向・開方向のテンション調整をおこない、動作チェックをして施工完了です。

今回の修理のポイント

  • 開方向でリークが発生すると、昇温・冷却能力が低下します。
  • 閉方向でリークが発生すると、昇温・冷却過多が発生します。

このようにさほど難しい構造ではないものでも、ただ部品を交換するだけでは問題解決しなかったり、別の問題が発生してしまう事があります。
その機械の構造と、システム的に何をおこなっているのかを理解しなくてはなりません。

これら一連の作業には、各部バルブ操作・温調計の操作・ろ過器や貯湯槽の操作やチェックが含まれ、弊社ではその全てお任せいただいております。
また、それらをおこなう際の警報関係や、「実際に何が起こるのか」などのご相談や、事前のお知らせも可能です。

同様の機器をお持ちの方へ

今回の該当機器は本来「工業用制御弁」の一種ですが、我々がよく目にするのは、温浴施設や大型ビルの給湯・冷暖房設備など、温水や冷水を制御する場所に使われているものがほとんどです。

この機器をお使いの場合、冒頭でご紹介したようにグランド部からの漏れや温調機能の低下が出始めたら要注意です。
温調機能の低下とは、「設定温度に達しない「または「オーバーシュートする」等の状態です。

今回ご紹介している温調弁はモジュトロールモータ+リンケージ+工業弁の3つの部位から構成されている商品で、専門知識や経験がない場合、商品の特定が難しいと思われます。
また、比例制御の緻密な温調機能が売りなので、リンケージの調整やテンション調整が肝となります。

この機器は現在は廃版となっており、新品はメーカー在庫のみの販売状態ですが、使用されている場面が非常に多い上に高価なため、なるべく修理したいというお客様がほとんどです。
現在は後継機種に代替されてますが、制御盤側の改造が必要な場合もあり、その場合は計装作業はメーカーのスタッフが対応することが多く、費用が高額になります。

また、メーカーのスタッフでも試運転で制御に問題が発生している事があるので難しいようです。
部品供給は現在はまだおこなわれているようですが、やはり普段からのメンテナンスが重要となります。

不具合が出てからの対応はもちろん、メンテナンスも承っておりますので、お気軽にお声がけください。

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