【現場革命】MujinのAGV新モデル、搬送自動化の“第2フェーズ”へ
〜800kgセーフティーモデルと1,500kg高耐荷重モデルが登場〜

総合オートメーション企業・Mujin(ムジン)が、新型AGV(無人搬送車)を発表しました。
今回のラインアップ拡充は、人と機械が共存する現場の安全性と、重量物搬送の効率化を両立することを目的としています。
出典: PR TIMES(2025年10月22日、株式会社Mujin)
※内容は再構成・要約のうえ独自の分析を加えています。
現場課題:止められない製造ラインをどう支えるか
製造・物流の現場では、
- 人手不足
- 安全基準の強化
- 生産変動への即応
といった複数の課題が同時進行しています。
とりわけ「搬送工程」は依然として人手依存が大きく、ミスや遅延の温床にもなりやすい部分です。
Mujinはこうした課題に対し、単体の自動化ではなく “全体が連動する自律搬送” というコンセプトを掲げています。
その中心にあるのが、同社の統合自動化プラットフォーム「MujinOS」と、現場に適応するモバイルロボット「MujinAGV」です。
新たに追加された2モデルの概要
🔹 800kg可搬 セーフティーモデル
- ISO3691-4(産業安全規格)準拠
- 人と機械が同じ空間で動ける「協働型」設計
- ピッキングや組立ラインなど、人が介在する工程での安全搬送を想定
🔹 1,500kg可搬モデル
- 高耐荷重設計で、大型パレット・バッテリー・重量部品の搬送に対応
- ライン間搬送や倉庫内自動化を拡大
- 既存の800kg/1,000kgモデルを超えるスケール
導入実績:すでに1,500台を超える国内稼働
MujinAGVは国内メーカーを中心に1,500台以上が稼働中。
納入後の安定稼働率も高く、導入企業の約7割がリピート契約を行っています。
さらに、設計から保守までを自社チームが一貫対応。東京本社に加え、愛知・三河エリアに専任サポート拠点を配置し、地域密着型の技術支援体制を確立しています。
MujinOSがもたらす「全体最適」の自動化
「MujinOS」はAGV1台から、通い箱仕分けロボット・ストレージシステムまでを同一基盤上で制御可能にする産業OSです。
- ティーチング不要
- リアルタイム最適化
- データ分析・遠隔運用に対応
これにより、単なる部分最適ではなく「工場全体を止めない」自動化DXが実現。現場データの可視化を通じて、経営判断や生産計画の精度向上にも寄与します。
機械修理ドットコム視点:保全・メンテナンスの転換点
1️⃣ 安全性と効率の両立
人とAGVが共存できるセーフティーモデルの登場は、「修理・点検を止めずにできる環境」の構築にもつながります。従来、メンテナンス時にはAGVの停止やエリア封鎖が必要でしたが、今後は協働領域が広がることで保全の柔軟性が高まります。
2️⃣ データが導く“予防保全”
MujinOSによって搬送ルートや稼働データが蓄積されるため、部品摩耗や異常予兆の検出が可能に。AGVの稼働履歴を基に、メンテナンス時期を最適化する「データドリブン保全」が現実味を帯びてきます。
3️⃣ 現場技術者の役割変化
AGVや自律搬送システムの導入が進むと、現場技術者は単なる修理職ではなく、システム全体の調整者(オーケストレーター) へと進化する必要があります。
Mujinのプラットフォームは、そのスキル転換の“橋渡し役”となるでしょう。
今後の展開:第1弾から始まるラインアップ強化
今回の2機種はあくまで「第1弾」。
今後も搬送規模や環境条件に応じてさらなるモデルが追加予定であり、「1台から始めて全体最適へ拡張できる自動化基盤」を目指すとしています。
まとめ:AGVは“単なる搬送機”から“現場の神経網”へ
MujinAGVの拡充は、単にライン作業を効率化するだけでなく、現場全体の情報をリアルタイムでつなぐ“自律型ネットワーク”の進化を意味します。
機械修理ドットコムとしても、この流れは「保全現場の自動化」「修理データの共有・解析化」といった次世代整備の方向性に直結すると見ています。
今後は、こうしたAGVシステムが中小製造業にも導入される時代が到来し、“止まらない工場”を支えるメンテナンス技術者の役割がますます重要になるでしょう。


