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人が運ばない工場へ ― ニチエツが挑む「自律走行式金型交換ロボット」の革新

人が運ばない工場へ ― ニチエツが挑む「自律走行式金型交換ロボット」の革新

横浜発のロボティクス企業、ニチエツ株式会社が、シリーズAラウンドで累計5億円の資金調達を完了しました。

開発の中心は、自律走行式金型交換装置――工場の「重労働」と「危険作業」を同時に解決するロボットです。

出典: PR TIMES(2025年10月29日
※内容は再構成・要約のうえ独自の分析を加えています。

重量物搬送の危険を“ゼロ”へ

成形工場では、数百キロから数トンにおよぶ金型をクレーンで吊り上げ、人が位置合わせや固定を行ってきました。

しかし、この工程は落下・挟まれ事故のリスクが高く、過去には死亡事故も報告されています。

ニチエツの装置は、こうした「危険の中心」に自律走行と自動交換を導入。
金型の取り出しから搬送・設置・生産開始までを完全自動化し、人の手を一切介さずに行えるよう設計されています。

⚙️ 人が運ばない工場、それが「未来の安全基準」になる。

自律走行式金型交換装置とは

新開発の装置は、AIとセンサー制御により、

  • 金型位置の自動認識
  • 自走による搬送ルート最適化
  • 精密アームによる金型交換動作
    を統合。

加えて、「自動金型倉庫」と連携し、金型の格納・出庫・管理を含めた工場全体の自動搬送システムを実現します。

これにより、工場は24時間稼働・無人ライン化を可能にし、生産効率を最大限に高めることができます。

機械修理ドットコム視点

修理・保全の在り方も“自律型”へ進化する

1️⃣ 保守リスクの削減

従来の金型交換機構では、油圧・機械式ジョイントの摩耗が故障原因の多くを占めました。
自律走行化によって動作の負荷が均一化され、摩耗やアライメントのズレが減少します。

2️⃣ 故障予知の自動化

ニチエツのロボティクスには、走行モーターやアクチュエータの動作データを常時監視する機能が組み込まれています。
異音・振動・電流値の変化をAIが分析し、故障前にメンテナンスを提案
これにより、ダウンタイムゼロの工場運用が現実的になります。

3️⃣ 人と機械の役割分担

保全担当者は「現場で手を動かす」から、「データで設備を診る」へと変化。
修理業務は“AI診断+人の判断”という新たな協働モデルへ進化しています。

グローバル視点 ― 日本の技術が世界の工場を変える

ニチエツはベトナムにも100%子会社を持ち、現地技術者と連携して開発を進めています。
グループ全体の半数以上が成形現場の経験者であり、現場の課題を深く理解したチーム構成。

この現場主導の開発力こそ、同社の強みです。
人材不足・安全課題・コスト上昇といった世界共通の問題に対し、「日本発の安全な自動化技術」として国際的な展開も視野に入れています。

まとめ:メンテナンスが支えるロボティクス革命

ニチエツの挑戦は、単なる自動化ではなく、「安全と生産性を両立する工場づくり」の実践です。
人が金型を運ぶ時代から、ロボットが安全に引き継ぐ時代へ――。

この変化を確実に支えるのは、現場でロボットを診断し、保全し続けるエンジニアの知識と感覚です。

機械修理ドットコムでは、こうした「自律機械時代の保全技術」に焦点を当て、現場の進化を支える視点から今後も情報を発信していきます。

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