技術を競い、事故ゼロを誓う ― ギオンが開催「第2回フォークリフト競技会」

総合物流企業の株式会社ギオン(神奈川県相模原市)は、2025年10月11日に「第2回フォークリフト競技会」を開催しました。
全国の営業所から選抜された14名のドライバーが集い、“安全”と“技術”をテーマに、日々の現場力を競いました。
出典: PR TIMES(2025年10月30日)
※内容は再構成・要約のうえ独自の分析を加えています。
目的:技術競技ではなく、「安全文化」を競う
フォークリフトは物流現場に欠かせない存在ですが、一方で労働災害の約4割がフォークリフト関連という統計もあります。
ギオンではこの現実を踏まえ、「事故ゼロを文化として根づかせる」という理念のもとに本競技会を実施。
単なる技能試験ではなく、
- 安全操作の徹底
- 歩行者目線でのリスク把握
- 現場教育の継承
といった“人を守る技術”を評価軸に据えています。
午前:安全講習と学科試験で「知識の再構築」
午前の部では、トヨタL&F神奈川による安全講習が実施され、フォークリフトの基本構造、操作原理、法令知識などを再確認。
続く学科試験では、
- 死角確認の手順
- 荷役時の重心位置の変化
- バッテリー管理・点検項目
といった“日常点検と法令遵守”が中心テーマとして出題されました。
これにより、安全の基礎を「感覚」ではなく「理解」で支える姿勢が明確に示されました。
午後:実技試験 ― 精度と冷静さを競う「リーチフォーク演技」
午後の部では、倉庫現場で最も使用されるリーチフォーク型フォークリフトによる実技試験が行われました。
ネステナー(スチール製ラック)の上に積まれたパレットを、正確かつ安全に移動・積み替えするコースで競技。
採点は操作の精度だけでなく、
- 安全確認のタイミング
- 荷の安定性
- 慎重さとスピードのバランス
といった“事故を起こさない動作”が重点評価項目となりました。
機械修理ドットコム視点
「安全」は整備と運用の両輪でつくる
1️⃣ 定期点検の見落としが事故を招く
整備不良によるブレーキ・油圧トラブルは、フォークリフト事故の代表例です。
車両の保全管理を点検記録データ化(DX)することが、今後の安全運用の大前提になるでしょう。
2️⃣ 操作教育+機械教育の融合
操作者だけでなく、メンテナンス担当者の安全知識強化も重要。
油漏れ・異音・タイヤ摩耗など、整備側の“異常感知力”が事故防止の最終ラインです。
3️⃣ 競技会が「教育の場」になる
このような大会は、単なるイベントではなく、現場教育の仕組みとして機能します。
“競いながら学ぶ”文化は、長期的に保全意識の底上げにつながります。
優勝者の声:「歩行者の目線で安全を考える」
今回の優勝者は、新入社員教育を担うベテランオペレーター。
「フォークリフトに乗らない人の目線を意識することが安全の第一歩」と語り、安全行動を“教える責任”を改めて感じたとコメントしました。
この言葉は、すべての現場に通じる本質です。
安全は“運転者のスキル”ではなく、“現場全体の共通認識”で守るものです。
まとめ:安全を「形式」ではなく「文化」に
ギオンが取り組むフォークリフト競技会は、技能の高さを競う大会でありながら、安全文化を全社的に共有する教育の場でもあります。
こうした取り組みが継続されることで、「事故ゼロ」は単なるスローガンではなく、“整備・操作・意識”の三位一体による現実的な目標へと変わっていくでしょう。
機械修理ドットコムとしても、安全と整備を両立させる現場づくりを支援し、「守る力を、次の世代へ」伝えていきたいと考えます。


