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ポンプの分解整備と電動機交換

新旧交換部品

長年使ってきた、季節で切り替えるポンプ。
初夏に使用再開しようとしたところ、起動後にELB(漏電ブレーカー)トリップで停止。
再起動した処、電動機より炎が上がり起動不能になったと、ホームページからご連絡をいただきました。

色々と電話越しでお話を伺い、電動機は交換・ポンプはひとまず最小限の消耗品交換でお見積りしました。

その後、お話を進めて行くと、少々状態が芳しくはなさそうな予感がしてまいりました。
大分遠方でしたので、他の仕事に合わせて訪問させていただきました。

すると、かなりの交換部品が追加になってしまう状態なことが判明。
ご説明したところ、大変な信頼をいただき、「必要な部品は専門家にお任せします。」との、ありがたいお言葉を頂戴しました。

しかし、責任重大です。過不足なく、選定しなければなりません。
慎重に危険要素とコストの狭間での選定を行い、後に正式にご依頼をいただきました。


【実際の新旧交換部品】
腐食の激しい重要部品を交換し、ポンプの揚程と流量に関わる部品を交換しました。


【施工前】


【施工後】
かなりの部品を交換したこともありますが、生まれ変わったかのようになりました。


電動機はおおよそ150~200kg。
現地で組み立て可能な簡易門治具を使用し、取り外します。


【ポンプ分解完了後】


【清掃中】
再使用部品は一つ一つ丁寧に清掃、手入れ、調整をします。

 
ちなみに、左の画像の部品が、ケレン清掃・手入れ・調整・ライナーリング交換・錆止塗装を行うと、右の画像の状態になります。


【ポンプ据付中】
再び組み上げたポンプを据付けます。


【ポンプ据付後】


【芯出し調整】
ここで、電動機を据付け、芯出し調整を行います。
基本的に弊社では10/100mm以内に調整します。
過度な数字を求める一部の機関以外では十分な数値です。

この時に予想外の困難がありました。
ポンプの鋳物ベースが歪んでいたため、通常の方法では芯出し調整ができないことが判明。

メーカーなどでは別途料金になってしまったり、日程の協議になってもおかしくない状態ですが、残念ながら弊社は大会社ではありませんのでお客様の許可のもとに少々時間を余計に頂き、その場で調整仕切りました。


【結線中】
そして、動力ケーブルの結線です。
逸る気持ちを抑えながら、一本ずつ絶対に間違いの無い様、結線します。
これは、もちろん電気工事士免許がなくてはなりません。


【試運転計測】
ようやく試運転です。
軸受温度、電流値、全振幅振動値などを計測し、運転状況を診断。
勿論、問題ありませんでした。

余談ですが、昼休み中に旧品の焼損してしまった電動機にお客様が興味津々のご様子。
本来、処分してしまうだけなのですが、焼損の原因を御理解いただきたく、分解して原因を確認して頂きました。
 

開けてみたところ、予想していたよりも酷かったです。
ベアリングが経年劣化により損傷し、内部のボールが破損。
破損した破片が他のボールに噛み込み、リテーナー(ボールクリアランス保持器)を破損。
この時点で、ELBトリップしたものと思われます。
再度の電源投入時には、完全に軸心の脱落したローターがステータと接触しながら回転し、極度に回転抵抗が増えて過電流により巻線を破損して出火したものと思われます。

ただ単純に、ご依頼の結果を全うするだけではなく、施設を運営・管理しておられる方に少しでも機械を正しくご理解、ご使用頂きたいと思うが故の余談でした。
この時間と雑談は非常に有意義であったと思い、とても嬉しい記憶として残っております。

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