今回は、自らへの反省の意味を含めた記事となっております。
油圧プレス機の制御系トラブルで、下限リミットで停止せずに下がりすぎてしまったという事でご依頼いただきました。
ある程度のやりとりを重ね、ほぼ「制御トラブルであろう」という事になりました。
お客さま自身で、元プレス機メーカーマン(メーカーは撤退)からも情報を取り寄せていただいており、原因であると思われるリレーをピックアップしておられました。
その対象リレーを取り寄せ、現地へお伺いしました。
問題のリミットスイッチと制御盤全景です。
リミットスイッチ
制御盤
回路図はあったものの、シーケンス図が存在していなかったため、実際に操作をさせていただきながら動作理論を確認していきました。
リミットスイッチ単体の動作確認も一つ一つ行ないます。
リレー状態も確認します。
お客さまの方でも近場の電気工事屋さんなどにある程度は見てもらっていて、数あるリレーのうち半分程度は新しいものに変わっていました。
しかし、回路図で確認すると、下限リミットに関する部分と、下限リミットに関するリレーに給電するためのリレーが古いままでした。
また、事前に用意していたリレーは既に新しくなっていたので問題ありません。
弊社からかなり遠いため、出張費も多くかかってしまう事からリレーの交換方法と諸注意事項をお伝えした上で、必要部品を郵送でお送りし、ご自身で交換していただくことで合意しました。
お客さまが「現在受注している生産品の納期の問題で、どうしても動かさなくてはならない」という事情もあり、このような対応となりました。
下限をつかさどるリミットスイッチに動作の信頼性が落ちていることから、システム的に起動回数の少ない同一型式のリレーと入れ替えることで、新品部品がくるまではもつであろう……と判断しました。
ところが、翌日の午前中にまたもや下限を割ってしまったとの報告が届きました。
そうなると、「パワーリレーだけの問題ではないかもしれない……」
「何か見落としがあって、他にも何かがあったのかもしれない……」
と、いろんな考えが頭をよぎります。
しかし、とにかく、「すでに寿命が過ぎてしまっているパワーリレーは最低限入手して再度伺わなければ」と自らに気を入れなおしました。
パワーリレーは在庫を持っていない問屋が多いのですが、電気専門の問屋とのつながりがあるため、問屋の倉庫まで引き取りに行き、部品を即日入手。
世間が三連休の中、お客さまにも出社していただき、不具合発生状態のまま止めていただいていたプレス機の状態確認です。
「他の原因や要因は何なのか」と思いをはせながらの確認作業です。
(症状が稀にしか出ないため、前回は不具合状態の再現はできていませんでした)
ひと通り不具合動作状態を確認したところ、新品が来るまでの間少しでも生産を進められるように、と仮に入れ替えたリレーが寿命を迎えていました。
生産の納期の問題で仮にでも動かせるようにしようという対応が裏目に出てしまったようです。
下限リミット動作に関するリレーと、交換した経緯のないリレーを全て用意できていたので、交換します。
その後、動作確認を行ったところ、全く問題なく動作するようになりました。
他の要因も更に探りましたが、他には見受けられないため、本当に過去履歴的に動作回数の少なかったリレーが再度寿命を迎えたことが原因になっていたようです。
連休中になんとか直すことができ、「これなら納期も間に合う」と言っていただけました。
その後、約1ヵ月程度たっても、不具合は1回も起こってはいないというお話をいただけました。
「納期的にどうしても動かさなければならない」
この言葉に少しでも応えたい……
この思いが強過ぎてしまったのかもしれません。
やはり、電気動作の「接点物」と「コイル物」は1回でも動作不良があったら動かしてはならない。
また、同一年式の他の物も信頼には値しない、と反省です。
今回は反省もありますが、迅速な対応ができたということと、初期診断に間違いはなかったという事は立証できましたので胸をなでおろしました。
これからも、お客さまのご要望に少しでも多く、そして安全に応えられるよう、精進してまいります。