ケーブルが不要になる未来 ― Prime Movrが実現する「レーザー送電」の新時代

米国のPrime Movr社は、レーザー光を使って電力をワイヤレスで送る「レーザー送電技術」を発表しました。
この技術は、従来の電源ケーブルや誘導型ワイヤレス給電では対応できなかった遠隔地・高所・閉鎖空間への電力供給を可能にします。
出典: PR TIMES(2025年11月13日)
※内容は再構成・要約のうえ独自の分析を加えています。
技術の核心:光を“電気の橋”に変える
Prime Movrのシステムは、レーザー光を電気エネルギーへ変換し、特定のデバイスにピンポイントで電力を供給します。
従来方式との違い
- 誘導式充電:近距離限定(数cm〜数十cm)
- RF送電(無線周波数):長距離可だが出力が低い
- レーザー送電:高出力かつ狙った方向へ集束可能
つまり、「電源コードが届かない場所へ、正確に電気を届ける」技術なのです。
主な応用分野
このレーザー送電は、次のような場面で特に有効とされています。
- 🔹 屋外監視カメラやIoTセンサー:高所や僻地でもメンテナンスフリー運用
- 🔹 自律型ロボット・ドローン:移動中でも充電が可能
- 🔹 医療・災害現場:配線困難な場所での緊急電力供給
- 🔹 宇宙・防衛産業:通信と電力供給の一体化
Prime Movrによると、特に遠隔センサーや無人観測装置への応用が期待されています。
機械修理ドットコム視点
“電力のメンテナンス”という新概念の登場
1️⃣ ケーブル劣化・断線リスクの排除
電線やコネクタの摩耗、断線は工場トラブルの代表格。
レーザー送電によって、これらの物理的な劣化要因を排除できます。
2️⃣ 新しい点検対象「光路」
ワイヤレス化により、保全対象は“配線”から“光の経路”へ。
レーザーの照射角・受光素子の清掃・熱影響評価など、新しい点検ノウハウが求められます。
3️⃣ 安全対策の必須化
レーザー出力が高い場合、誤照射による目視・熱損傷リスクが発生します。
そのため、設備側には遮光・フェイルセーフ制御・温度監視などの安全制御システムの整備が不可欠です。
環境・持続可能性への貢献
Prime Movr社のアドバイザーであるジョン・ワイヘエ元ハワイ州知事は、この技術を再生可能エネルギーとの統合に活用する構想を示しています。
太陽光や風力で得た電力をレーザー化し、離島・山岳地帯・洋上設備などに送電する――
まさに「送電線のいらない送電網」が現実味を帯びています。
まとめ:電力供給=“見えないインフラ”へ
Prime Movrのレーザー送電技術は、“電力を運ぶ”という概念を根本から変えつつあります。
ケーブルでもバッテリーでもなく、光で電力を届け、AIで制御し、データと連動して保守する。
それは、産業保全の領域にも大きな影響を与える革新です。
機械修理ドットコムとしては、この技術が将来「配線保守」という仕事を再定義し、“非接触保全”という新しい時代の幕開けになると見ています。
