ハーモニック減速機の“軽量化革命”に見る、次世代ロボットと機械修理の未来
13gという軽さが問い直す、“修理”の価値とは?

2025年11月24日、日本で開催中の国際ロボット展「iREX」にて、中国の精密減速機メーカー「来福ハーモニック」が、わずか13グラムの超小型ハーモニック減速機「03シリーズ」を披露しました。
同社はこれを「ヒューマノイドロボットの核心動力」と位置づけ、関節の小型化・軽量化を実現する画期的技術としてアピールしています。
こうしたニュースを、私たち機械修理ドットコムは単なる「技術の進化」としてではなく、修理・メンテナンス業界にとっての新しい課題とチャンスとして捉えています。
出典: PR TIMES(2025年11月24日)
※内容は再構成・要約のうえ独自の分析を加えています。
軽量化が進むほど、修理は難しくなる?
ハーモニック減速機は、産業用ロボットや精密機械に欠かせない核心部品。従来は数十〜数百グラム規模が当たり前だったものが、13gまで小型化された背景には、ヒューマノイドロボットの「手首」「指関節」など極小スペースへの搭載ニーズがあります。
しかし、私たち現場の修理屋から見ると、この「軽量化・小型化」は一筋縄ではいきません。
- 部品が小さいほど、分解・診断・再組立ての難易度が跳ね上がる
- 耐久性と軽量性の両立は、摩耗・劣化の進行を早めるリスクも内包
- メーカーのモジュール化設計により、「部品単位の修理」が困難になる傾向も
実際に、近年のロボットやFA装置では、「故障=ユニットまるごと交換」が前提となっているケースが増えています。これはメーカーにとっては効率的ですが、ユーザーにとってはコスト増・廃棄量増につながります。
修理から見た“共同開発”の可能性
興味深かったのは、来福ハーモニックが「顧客企業と共同で30%以上の軽量化を実現した」という点です。これは単なる部品供給ではなく、設計段階から協創する姿勢を示しています。
この発想を逆に活かせば――
修理・保守の視点も、設計段階から組み込むべきではないでしょうか?
たとえば、
- 分解しやすい構造設計
- 摩耗部品の交換性向上
- 故障診断用のセンサー配置
こうした“修理しやすさ”(Repairability)を設計段階で考慮すれば、ロボットの寿命延長・TCO削減・サーキュラーエコノミー実現に大きく貢献できます。
私たち機械修理ドットコムは、日々の現場で「なぜこの部品は交換できないのか?」「なぜここまで分解しないと点検できないのか?」という疑問を抱いています。
その声を、次世代の設計者・メーカーに届ける橋渡し役になれたらと願っています。
小さな部品にも、“命”がある
13gの減速機は、確かに驚異の技術です。
でも、それが1年で壊れて交換不能なら、技術として完結していません。
真の革新とは、“使い続けられる仕組み”まで含めて設計されていることだと、私たちは考えます。
今後、ヒューマノイドロボットが工場や介護現場に広がる中で「修理できるロボット」のニーズは確実に高まります。
機械修理ドットコムは、最先端技術の動向を追いながらも、現場の声・ユーザーの声・地球の声を大切にし続けることで、持続可能な機械社会の実現に貢献していきます。
