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レース型2軸バフ研磨機(器物用)の修理・改造

有限会社ニシヤマ・西山鉄工

ご依頼内容

当初、新規に製作する事でお見積りをいたしましたが、予算オーバーのため、20年ちかく屋外にブルーシートを掛けた機械があるのでそちらを修理・改造をお願いしたいとのことでした。

今回修理した研磨機の写真

修理・改造内容

本機械は写真では少し伝わりにくいとは思いますが、もともと研磨職人だった方が鉄工所へ転職し製作いたしました。
簡単な構造のようで、この簡単さが大変使いやすく作業者の立場に立った構造であり、地場産業機械の完成形だと思います。
本来は剛性を持たせ、治具はしっかり固定する設計をしますが、これでは使いづらく磨けない研磨機になってしまいます。
バフ研磨機は剛性がありすぎると製品にバフ面が入り、布バフは常時摩耗し研磨の条件が変化してしまうため、調整部分は簡素化しなければなりません。

修理内容としては、とにかく大変な状態でした。
周囲を19mm厚の合板で囲われていて、板全体がシロアリの巣となっていたり、塗装の剥がれた摺動面はサビが膨れ上がり、また飛び散った研磨材を取り除く作業に1週間以上はかかりました。
使える部品はほとんどなかったのですが、電磁弁4個はオーバーホール(分解掃除)で使えるようになりました。
残りの部品は全て中古品ありの持ち込みで仕上げました。

修理・改造後の写真
修理・改造後の側面からの写真

改造点は、本機は器物のボウルなどの球面部を右が内側、左が外側を磨く機械と想定されますが、ご依頼主様は小さな鍋や計量カップなどの円柱あるいは円錐形の外側と外底を磨かれるとのことで、ワークを円弧と振動する機能を外しました。
これは極力安価に仕上げることも配慮してのことです。

制御盤の取り付けが1番迷いました。
微振動による端子などのゆるみを考えると研磨機から分離する事がいいのですが、本機に大きい部分があること、設置環境をふまえて側面がいいと判断いたしました。
ご依頼主様は正面上部でもいいとおっしゃっていましたが、踏み台に乗ったりしなければ操作が行いにくいと説明し、了承をいただきました。
これも安価設定のための断念です。

制御回路はリレーシーケンスですが、リレー・ブレーカーは全て交換し、回路の変更に合わせて自動から手動に切りかえた時や運転準備スイッチを押した瞬間に各部の暴走を防ぐため、各部の手動スイッチは必ずOFF状態からのON作動で動く安全回路にいたしました。
これにより、自動時に各部の手動スイッチのON状態からの電気のまわりこみによる各部の暴走を防いでいます。

制御盤の写真

今後のアドバイス

ご依頼主様はご自分で整備ができるとのことなので、メンテナンスフリーになりました。
ただ、木製板で研磨機を囲う事はしないでいただきたいと伝えました。
なぜならバフ研磨機は鉄バフなどの使用時に発熱しやすく、油分を多量に含んだ研磨材が付着した木製板は燃えやすく火災の原因になりやすいからです。
側面を鉄板で囲っても火災を起こすこともありますので、火の元には十分に注意が必要な作業工程の機械となります。

電磁弁について

直動型を2個使用しております。
塵埃(じんあい)の多い研磨機ではポペット型の方がスプールのカジりに強く、Oリングでない特殊なパッキン構造の製品を使えばより故障しにくくなります。
本機械はシリンダーが大きいため、低圧でも作動する直動型が設置されていたのではないかと想像されますが、ポペット型の出力側にチェック弁と減圧弁を取り付けた方がいいこと、ルブリケータがありますのでタービン油は絶対きらさないこと、以上2点をお伝えいたしました。

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