食品摩砕機の修理
「モーターが動かないため、ミキサーを使用できません。」とのお問い合わせでした。
以前も同様の現象があり、その際はモーターの交換で済んだのですが、現在はメーカーが同じ型の取り扱いを終了しているため交換できないとのこと。 当初、ミキサーとのお話でしたが、厳密には摩砕機でした。
初見ではモータの巻線コイルに損傷があるとの判断にて、巻線交換の見積りをしました。 分解してみると、モータ内部に摩砕食品のペーストが大量に浸入している状態でした。
侵入物の性質(酸性)によりベアリングの損傷が著しく、完全にロックしている状態で且つコイルそのものに損傷があるかどうかの判定が不可能な状態でした。 2度のコイル洗浄を行うことにより侵入物が完全に排除され、その時点でコイルの絶縁抵抗値は100MΩ以上に復旧したため、コイルを巻替える必要性はないものと判断しました。
侵入物によりコイルの各相同士に導通が出てしまっていたために絶縁抵抗値に異常が出ていた状態でした。 モータコイルの洗浄にて絶縁抵抗値が復旧したために巻線の交換は行わず、修正見積りで巻線交換費減額・コイル洗浄費計上・オイルシール計上で総額としては減額にて対応しました。 各消耗品(ベアリング・オイルシール・水切りリング)をより効果的なものに変更・交換し、組立ました。摩砕食品が異常なまでに侵入していたため、オイルシールの形状を既存品から変更。水中モータなどに使われる線形(断面形状)の物を選定しました。 当機器は構造上過電流が出やすい装置のため、過電流検知保護回路を新たに構築しました。
(過電流はモータの加熱を招き、今回交換した消耗品の耐久度を著しく落とすとともに、繰返されることによりコイルの損傷が発生します。) 石臼のクリアランス及び当たり調整後、試運転を行いました。
モータ内部への異物の侵入が著しかったため、水切りリングは大径にし、オイルシールは水中モータ用と同等品に変更しましたので、今後はより異物の侵入に対する耐性が上がったものと思われます。