常日頃、圧力計や流量(吐出口が解放の場合は流れ出具合)を気にされている用途のポンプには、この不具合は致命的です。
では、何故そういった不具合が発生するのか一般的な陸上渦巻ポンプを例にして考えていきましょう。
まず、流量低下の要因は・・・
- 羽根車の腐食又は破損
- ライナーリングの腐食若しくは摩耗
- 配管系統の閉塞
上記3点に絞られると思います。
羽根車やライナーリングのの腐食や損傷は異物吸込みによるものと、水質によるものが主です。
異物によるものの場合、異物の再度吸込みを阻止することが必要です。
よく見受けられるのは、ストレーナーや除毛網はあるが、敗れている・・・と、いうもの。
再度の吸込みを阻止し、羽根車やライナーリングを交換すれば解消できます。
水質による場合は、水質が改善できる場合は改善し、できない場合は、ほとんどのメーカーのポンプにはSUS製の羽根車やライナーリングの特殊仕様があるので、材質変更が有効です。
若しくは、ポンプの全体的な劣化具合との相談になりますが、ステンレス製のポンプに更新してしまうのが有効です。
解説
ライナーリングが摩耗すると、羽根車(回転体)とライナーリング(固定物)のクリアランスが広くなり、ケーシング内の吐出側の部屋から、吸込み側の部屋へ圧力が逃げてしまい、流量や圧力不足を招きます。
ライナーリングと羽根車の許容隙間は、おおよそ0.4ミリ程度。
これが広がると、逃げ水の量が多くなってしまいます。
最後に配管等の閉塞についてですが、これは運転を掛けた状態での電流値と、定格電流値の差異によって判断できます。
渦巻ポンプの場合、流量が増えると電流値が高くなるという流量と電流値の関係性(送風機には当てはまりません)がありますので、その関係性を持って判断します。
- 赤矢印先端がライナーリング部分。
- 曲線青矢印がメインの流体の流れ。
- 直線矢印が逃げ水。
これは、現地で確認すれば判断できますが、羽根車とライナーリングの摩耗は、よほど顕著でない限り不調が発生する前からのポンプの運転状態の推移をヒアリングしないと、分解しない限り解らない事です。
常に対象機に接している方のお話が非常に大切になってきます。
分会整備と同時交換する場合、作業工賃の追加はありませんが分解時に摩耗や破損が発生すると、再度作業工賃が発生してしまいます。
極力そういったことの無いよう、ヒアリングさせていただいております。
参考画像
摩耗したライナーリング
正常なライナーリング
異物を吸込んだ羽根車
腐食が進行した羽根車
更に進行し、破壊されてしまった羽根車1
更に進行し、破壊されてしまった羽根車2
緊急代替え品(中古)との比較(全く同じ部品です)