特殊な要件の機械基礎再構築

今回は前回(機器の更新に伴う機械基礎の再構築)に引き続き機械基礎の再構築ですが、少々変わった理由によるものです。
機器の更新に伴い、トラブルの発生率を下げる目的で機器の種類を変え、ポンプの設置高さを変更するのが目的です。 この選定自体は元請さんの発想ですが、こういった意味合いが理解でき、円滑に業務をこなせるということでご用命いただきました。 元々は自給タイプのポンプが設置されていましたが、ポンプの設置高さ(正確には吸込み芯の高さ)を20cm下げる事で自給式の必要性がなくなり、流し込みで使用できるという事が判明しました。 そこで、トラブルの原因の一つになりかねない自給式を排することになったようです。
今回は施工の工程の前に、「自給式よりもスタンダードポンプをお薦めする理由」からご紹介します。
スタンダードポンプとは「鋳鉄製の遠心ポンプ」を指し、特別な事情がない限りこちらを採用します。
自給式よりもスタンダードポンプをお薦めする理由
理由1:トラブル発生率の低下
さて、なぜ自給式ポンプでトラブルが発生するのかというと、内部に入っている内蔵逆止弁のせいです。 これは、どこのメーカーもほとんどが逆止弁の弁体をゴムで吊るしていることから発生します。 このゴム部が経年劣化でちぎれ、羽根車に吸い込まれてしまう事が多く見受けられます。 羽根車の吸込み部(マウスの内側)にちょうどカッポリと嵌ってしまうような状態ですので、完全に吸い込まれて羽根が再起不能になることはありませんが、吸い込まれた弁体を取り除かない限り、驚くほど大きな異音と共に流量・圧力が極端に低下した状況となります。- 供給ポンプであった場合
- 供給量が全く足りなくなったり、揚程が全く足りなくなったりすることもあります。
- 循環ポンプであった場合
- そもそもの設計値をはるかに下回る循環量しか出なくなります。
理由2:コストと能力
自給式ポンプは、スタンダードポンプに比べるとコストは1割程度増し、能力は1割程度低くなります。 能力が低い原因は吸込み配管の芯が羽根車の芯に来ていないため、流体的に圧力損失が発生するためと考えられます。 ポンプの選定は必要な能力の2~3割程度高いものを選定するので、1割程度低くてもそれほど問題はないのですが、あえて自給式ポンプを選ぶことは非効率と言えます。スタンダードポンプを採用しないケース
スタンダードである鋳鉄製の遠心ポンプ以外を選択するケースには、下記のようなものがあります。- ポンプに流し込めない(ポンプよりも低い水位を吸い込みたい)場合
- 自給式
- 耐腐食性を求める場合(単純に水に対して以外に、薬品、炭酸を混ぜている、どうしてもキャビテーションが発生する使用方法など)
- ステンレス製(かつてはナイロンコートでしたが今はステンレスが主流)
- 高揚程を望む場合
- 多段式
- 高耐久を望む場合
- 2極(スタンダード)→4極→6極
- ※インバーターを入れるという選択肢もありますが、ポンプ単体で完結させる場合。 ※インバーターを選択する場合は特に回転速度を状況に応じて可変させるという意味合いも含まれます。