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ポンプのよくある運転トラブル

株式会社テクニカデベロップメント

ポンプの運転トラブルで、よく目にする原因の一つとして「キャビテーション」があります。
キャビテーションが発生しているポンプにどのような現象が発生しているのかというと・・・

  1. 異音・振動
  2. 流量低下
  3. 吐出圧低下
  4. 電流値低下(もしくは不安定)

といった事案が発生しており、これが長く発生し続けると、羽根車やその周辺にの腐食したような損傷が発生します。
または、メカニカルシールの水切り面の荒れも発生し、メカからの異常に早いサイクルでの漏水も見られます。

キャビテーションで分解寸前の羽根車
キャビテーションで分解寸前の羽根車

キャビテーションの発生するメカニズムは解っていますが、その現象の原因は多岐にわたり、また羽根車の翼の表面加工の平滑度などにも及びます。

周辺設備の状況や場合によっては根治が難しく、キャビテーションが発生しても損傷が発生しにくいステンレス製のポンプに変えることしかできない場合もあります。
しかしながら、可能な限り状態確認し、改善の提案をしなくては話が進みません。

基本的に、キャビテーションが発生しているポンプはどのような状態なのかというと・・・
羽根裏で真空引きしてしまっている(俗的表現です)状態のため、エアを噛んでいる状態とほぼ同じ様な現象が見られます。

そして、その真空が羽根車周りで破裂するたびに超音波が発生し、羽根車とその周辺を溶解していってしまうのです。

ここまでで、温浴施設関係者の方ならば、痛い経験がある方がいらっしゃるかもしれません。
そう、炭酸泉と同じです。

昨今の温浴施設に見られる炭酸泉は、炭酸ガスを循環行程で高度にお湯に溶け込ませている状態です。
高度に溶け込ませているが故に、炭酸ガスは浴槽内ではじけきれず、循環ポンプにまで回ってきます。

そして、ポンプ内ではじけて超音波を出すために、羽根車の損傷に繋がるのです。
その影響が著しく大きいのが砲金や青銅(CAC)の材質のため、元々炭酸泉に使っていなかった系統に炭酸泉を採用すると、ありとあらゆる部分のCAC製品が腐食し、破損するのです。

キャビテーションは、ポンプの内部で炭酸ガスに変わる空気が発生し、内部ではじけている状態です。

キャビテーションとは

では、キャビテーションとは何か・・・、考えてみましょう。

渦巻ポンプの羽根車のように翼で液体を遠心させている機器の周辺で、部分的な圧力差により飽和蒸気が発生・破裂する状態のことです。

きっと、訳わからないと思います。
これで、解る方はそもそもキャビテーション現象を理解されている方だけだと思います。

羽根車は、回転することで液体に遠心力をつけます。
ただ、その各の翼の裏表には当然ながら圧力差が発生します。

羽根車の表裏の圧力差

羽根裏は圧力が低くなり、ある一定以上圧力が下がると飽和蒸気圧の問題で蒸気が発生します。

発生した蒸気は圧力の高いところへ移動すると蒸気の姿でいられなくなるため破裂し、液体に戻ります。

この、破裂するときに超音波が発生するのが問題で、各部の腐食のような溶解的な現象を引き起こします。

また、キャビテーションが発生しているポンプのケーシングから独特の異音がするのはそのためと、翼が蒸気を掻いているせいと思われます。

この、キャビテーション現象は、船舶のスクリューで発見されたのが元で、極端に言うと非常によく水をつかむ形状の翼を高速で回転させることで発生することが確認されています。
船舶の場合、キャビテーションが発生すると、発生した蒸気を一緒に掻いてしまうため、推進力が失われ、後に翼が破損します。

モーターボート競技などでは、高速で回転するエンジンを手にした場合、その回転数に対応した翼の羽根をセットしないと、勝てないそうです。

翼は、それだけで一つの学問になるほどの深さがあるようです。
(おそらくは流体力学のひとつなのでは・・・)
専門機関があるくらいです。

さて、話が逸れてしまいましたがポンプの話に戻ります。
ポンプでキャビテーションが発生している場合、どうすればいいのか・・・。
根本的には吸込み不良が発生している状態なので、どうやって吸込み不良をなくすか・・・が、焦点になります。

ただし、吸込み不良は原因が多くあります。
吸込み圧や吸込管の抵抗、回転数過多・吐出管形状・吐出口状態などなどにより、千差万別です。
また、その施設でのそのポンプに求める能力の問題がありますので、専門家にご相談いただきたいと思います。

また、キャビテーションと似たような現象と思われがちなのがサージングです。

人によっては、ポンプはキャビテーションで、送風機はサージング・・・と、おっしゃる方もいますが、全く違う現象ですので関連性はありませんし、ごく希にポンプでもサージングは発生します。
簡単に言うと、キャビテーションは液体中の真空引き現象であり、サージングは流体振動による配管(ダクト)の共振現象です。

そもそも気体を移送している送風機にはキャビテーションは発生し得ませんが、ポンプには双方とも発生し得ます。

過去に一度だけポンプのサージング現象を目の当たりにしたことがあります。
メーカーの技術者と、調査をした経験があります。

キャビテーションだというお話でお伺いしたら、ベアリングの損傷だったり、吸込管の損傷でエアを吸い込んでいたりしたこともあります。
発生している現象を一つ一つ、解明していくことが重要になります。

知識だけでは解らないこともありますし、最低限の知識がないと追求ができないこともあります。

非常に難しい内容ですので「必ず解明できる」とまで奢ってはいませんが、お困りの際はお声がけください。
発生している現象に真摯に向き合います。

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