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VSモーターの経年劣化対応

機械修理ドットコム合同会社
プレス加工会社のリピート案件により、プレス機のVSモーターの整備の依頼を承りました。 VSモーターとは、モーターの回転速度を制御しプレス機の昇降速度を調整する為のモーターです 。 VSモーターは上の画像では左側の黄色い部分に格納されています。 モーターが決まった速度で回転することにより、一定の間隔でプレス機が昇降します。

修理前の状態及び解決方法

ベアリングが少し劣化していました。 当然ながらベアリングやシャフトをこのまま使い続けると、ベアリングボックスやシャフトが摩耗し修理不能となってしまいます。 また、オイルシールの劣化も気になりました。 オイルシールの劣化が進むと作動中に破損し、中のオイルが漏れることによってオイルが減少します。 工業機械の稼動部品の大半が、金属と金属の間に油膜を作って接触を少なくしています。 オイルが減少することにより油膜がなくなり、それらの稼動部品が一気に摩耗していくことによって、最終的には部品の破損による機械の故障や、事故を引き起こす恐れがあります。 そのような事態を防ぐため、ベアリングとオイルシールともにすぐに交換することにしました。

作業内容

  • VSモーターの分解
  • ベアリング、オイルシール等の交換
  • 清掃・組立

整備状況

ゴールデンウィーク中の4日間に以下の日程で脱着作業・清掃作業・部品交換・組立・納品及び取付を行いました。
一日目(作業① 脱着作業)
VSモーターのカップリングから駆動電動部分を取り外します。
  • VSモーターのカップリング(左側)と取外された駆動電動部分(右側)
二日目 作業②清掃作業
モーター全体を灯油で洗浄します。
三日目 作業③部品交換
モーターのカップリングと駆動電動部分のそれぞれのベアリングとオイルシールを新品に交換します。
作業④組立作業
ベアリングとオイルシールを交換したカップリングと駆動電動部分を合わせて元の状態にします。
四日目 作業⑤納品及び取付け
修理したVSモーターを納品先の工場に運び、取付けます。
試運転結果
今回は現場での取り付けをするまで試運転ができませんでしたが、手回し試験では円滑に動き、取付け後も問題なく作動しました。

作業ポイント

VSモーターの駆動軸部とドラム部は、はめ合い構造によってぴったりくっついているため、ドラム部だけを高温で熱して膨張させながら抜くことで外しやすくなります。 実際の分解作業でVSモーターの駆動軸部からドラム部を外す時に、高温のアセチレンガスバーナーで変形・変質しない程度にドラム部を炙りながら、作業を行いました。 軸部まで温まらない内にすばやく着脱作業を行うことで、部品をあまり傷つけないように交換することが可能となります。
  • ガスバーナーで炙りながらドラム部を取外す作業の様子
  • VSモーター構造図(カップリングが付いている状態)
ドラム部が軸受カバー取付けナット付近に取り付けられているため、分解のために取外す必要がありました。

同様の装置をお持ちの方にアドバイス

  • 定期的に(今回の場合は8~10年ごとに)オーバーホールを行い、ベアリングやオイルシールを交換してください。
  • グリスアップもこまめに(少なくとも月に一度)行ってください。
  • 作動中に異常音がした場合、すぐに停止させて点検してください。

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