べベルギヤ(笠歯車)製作・入れ替え作業(前編)
本記事は、前編と後編があります。
べベルギヤ(笠歯車)製作・入れ替え作業(後編)
お客様より、「装置の回転部分から大きな音がするようになったので見に来て欲しい」とのご依頼をいただきました。
お話を聞いてみると、30年ほど使用している機械との事です。
今までしなかった音がするということで確認すると、「ゴー」とうなり音がします。
さっそく、装置の回転部分のカバーを開けてみます。
この機器は、べベルギヤ(笠歯車)を使った動力の伝達方式です。
比較的大きなサイズが使われていました。
ベベルギヤは歯車を使った減速装置の中で、入力軸と出力軸の回転方向を90度変えられる特徴を持っています。
自動車のデファレンシャルギヤに使われています。
今回は装置のレイアウトの都合上、高さを抑えるために使用されているようです。
さまざまなギヤの紹介
変速機の修理は、当社の装置における修理の中でもご依頼の多い品目です。
そこで、当社が修理したギヤの一部をご紹介します。
変速機の修理は、通常は破損したユニットごと交換する例が多くなります。
上の写真はウオームギヤを使ったユニットの例です。
ウオームギヤは入力軸と出力軸の回転方向を90度変えるところはベベルギヤと同じですが、大きな減速比を求められる場合に使用されます。
こちらの写真はベルト式無段変速機になります。
ベルトを用いて入力軸と出力軸のプーリー比を変えることにより無段階に変速します。
そのほかにも、色々なギヤユニットが存在しますが、ギヤユニットを使う目的は設計工数の削減、量産品の採用によるコスト低減があります。
また、ギヤ単体を組み合わせて使用している場合もあります。
こちらは平歯車と呼ばれるもので、ギヤといわれるとこの形状を思う方が多いと思います。
通常は軸が平行に並び、ギヤ1組で使用した場合はギヤの歯数で減速比が決定します。
また、回転方向は逆になる特徴があります。
当社では、市販されているギヤを追加工することにより様々な事案に対応しております。
本案件の状況確認
さて、今回のベベルギヤの状況を確認していきます。
入力軸の歯の磨耗を確認します。長期使用による磨耗が見られます。
出力軸の歯も同じように磨耗しています。
噛み合わせの位置の微調整も行いましたが、うなり音は改善されませんでした。
うなり音はギヤ部品を交換をすれば修理できると判断できましたので、装置の製作メーカーに部品の手配を行いました。
残念ながら部品欠品との事で、当社で部品を調達いたします。
但し、今回のベベルギヤは専用部品のため、まったく同じというものがありません。
そこで、詳細な形状・寸法を採寸し、市販されているギヤに追加工とアダプタ部品を製作し、修理することにしました。
当社では、市販のギヤユニットの交換作業だけでなく、ギヤへの追加工やアダプタ、カラーの製作を行い、修理することが可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。
今回訪問させていただいた日は、生産活動中で装置を長時間停止することができないため、後日採寸となりました。
採寸から実装まで、後半は次回詳しくご紹介させていただきます。